治療について
機能性腸疾患の治療について
機能性消化管疾患(FGIDs)とは、胃や腸に慢性的・反復性の症状があるにもかかわらず、内視鏡検査などで器質的な異常(目に見える病変)が認められない状態の総称です 。代表的な疾患には、過敏性腸症候群(IBS)や機能性ディスペプシア(FD)が挙げられます 。これらの症状は、消化管の神経や運動機能の異常、あるいは脳と腸が密接に影響し合う「脳腸相関」が原因で引き起こされると考えられています 。FGIDsは命に関わる重篤な病気ではありませんが、慢性的な症状が日常生活の質(QOL)を著しく低下させることが知られています。当クリニックでは、このような機能性腸疾患の診断と薬物治療、食事・生活指導、カウンセリングに積極的に取り組んでいます 。
治療の適応(対象となる方)
治療適応の症状・状態
機能性腸疾患の治療は、以下のような症状や状態がある場合に検討されます。
- 腹痛や腹部膨満感が慢性的に続く
- 便秘や下痢を繰り返し、便通が安定しない
- 排便しても便が残っている感じがする(残便感)
- 通勤・通学中や大事な場面など、特定のストレス下で腹痛や便通異常が起こる
- これらの症状が日常生活に支障をきたしている
治療術式の選択
機能性腸疾患そのものに対する治療は、原則として手術を必要としません 。治療の中心は、薬物療法や生活習慣の見直しです 。しかし、長引く便秘や排便困難の原因が、直腸瘤や直腸脱といった器質性便秘である場合には、手術が根本的な治療法となります 。
当クリニックでは、患者様の病態やライフスタイルを総合的に判断し、最適な治療法を選択します。
薬物療法
- 適応: 消化管の機能異常が原因で症状が現れている場合
- 方法: 過敏性腸症候群には腸管運動調整薬や整腸薬を、機能性ディスペプシアには胃酸を抑える薬や、胃の運動を促進させる薬を処方します 。
- 特徴: 手術を伴わないため体への負担が少なく、外来での治療が可能です 。
外科的治療
- 適応: 慢性の便通異常が、直腸瘤や直腸脱などの器質性疾患によるものと診断された場合 。
- 方法: 器質性疾患の種類に応じて、最適な手術術式を選択します。
- 特徴: 根本的な原因を取り除くことができるため、症状の長期的な改善が期待できます 。
当クリニックでは、問診や精密検査を通じて、症状の真の原因が機能性にあるのか、器質性にあるのかを鑑別し、患者様に最適な治療方針を提案することを重視しています。
治療の詳細
機能性腸疾患の薬物療法は外来診療で行いますが、器質性疾患に対する外科的治療(手術)を行う場合は以下のようになります。
麻酔・所要時間
- 麻酔方法: 腰椎麻酔や全身麻酔、硬膜外麻酔などが用いられます 。
- 手術時間: 疾患や術式によりますが、30分から3時間程度です 。
手術・治療手順
- 術前準備: 術前検査で病態の評価や、隠れた悪性疾患がないか鑑別診断を行います 。
- 麻酔導入: 術式に応じて麻酔を導入します。麻酔下で行うため、術中の痛みはほとんどありません 。
- 患部の治療: 疾患に応じて、脱出した直腸や緩んだ組織を切除・縫合したり、腸管の狭窄部を広げたりします 。
- 術後ケア: 回復室で安静に過ごし、術後の痛みは痛み止めでコントロールします 。
期待される効果
外科的治療によって、以下のような効果が期待できます。
- 症状の根本的解決: 直腸脱や直腸瘤といった器質的疾患の根本的な原因を取り除くことができます 。
- 便通の正常化: 長期にわたる排便困難や残便感などの症状が解消され、便通が正常化します 。
- 日常生活の質の向上: 便通の悩みから解放され、日常生活を快適に過ごせるようになります 。
治療のリスクと合併症
どのような治療にも、以下のようなリスクと合併症が存在します。
一般的なリスク
- 出血、感染、疼痛
特有のリスク
- 再発
- 排便機能障害
- 腸閉塞
リスク軽減への取り組み
当クリニックでは、術前精密検査による正確な診断と、患者様の状態に応じた最適な術式の選択により、リスクを最小限に抑えるよう努めています。