Diseases
疾患について
腸管ベーチェット病の症状
腸管ベーチェット病は、ベーチェット病の特殊な病型の一つで、特に腸管に潰瘍ができる病気です。国の指定難病に定められており、症状が治まる「非活動期」と、症状が強く現れる「活動期」を繰り返すのが特徴です。腸管ベーチェット病の主な症状は、腸管に発生する深い潰瘍によるものです。
- 腹痛、下痢、下血、血便などの消化器症状が中心となります。便秘を伴うこともあります。
- 発熱などの全身症状が現れることもあります。
これらの潰瘍は、小腸と大腸のつなぎ目である回盲部に最も多く見られますが、消化管のどの部位にも発生する可能性があります。
重篤な合併症
深い潰瘍は、命にかかわる大量出血や、腸に穴が開く腸管穿孔を引き起こすことがあり、緊急手術が必要になるケースもあります。
原因
腸管ベーチェット病の明確な原因はまだ解明されていません。しかし、遺伝的素因と環境的要因が複雑に絡み合い、免疫システムに異常が生じることで発症すると考えられています。
- 遺伝的要因:特定の遺伝子(HLA-B51、A-26)との関連性が示唆されています。
- 免疫系の異常:自然免疫と獲得免疫のバランスが崩れることが、全身性の炎症を引き起こします。
- 環境的要因:ヘルペスウイルスや特定の口腔内細菌、腸内細菌叢の乱れなどが、発症に関与すると報告されています。
診断
診断には、全身症状や臨床経過、そして複数の検査結果を総合的に判断します。
主な検査
- 大腸内視鏡検査:腸管にみられる、境界がはっきりした深くえぐれたような円形または類円形の潰瘍を確認します。この潰瘍の周囲の粘膜が比較的正常であることが特徴で、診断の重要な手がかりとなります。
- 病理組織学的検査:内視鏡で採取した組織を顕微鏡で詳しく調べ、確定診断を行います。
- 血液検査:炎症の程度を示すマーカー(CRP、ESRなど)や貧血の有無、特定の遺伝子(HLA-B51)の有無を調べます。
腸管ベーチェット病は、クローン病や腸結核など、他の類似する疾患との鑑別が重要です。そのため、専門的な知識と経験を持つ消化器専門医による診断が推奨されます。
治療
治療の目標は、腸管の潰瘍を治し、症状を和らげる「寛解(かんかい)」状態を導き、その状態を長く維持することです。治療法は病態や重症度に応じて選択されます。
薬物療法
- 軽症:主に抗炎症薬(5-ASAなど)が使用されます。
- 中等症〜重症:症状を速やかに抑えるために副腎皮質ステロイドが使われます。長期使用の副作用を避けるため、症状が落ち着けば免疫調整剤への切り替えや減量を検討します。
- 難治性(薬が効きにくい場合):抗TNF-α抗体などの生物学的製剤やJAK阻害薬が使用され、高い効果が期待されています。
外科的治療
薬物療法が効果を示さない場合や、腸管穿孔、大量出血、腸閉塞などの重篤な合併症が起きた場合に選択されます。手術で病変部を切除しますが、これは根本的な治療ではありません。手術後も潰瘍が再発するリスクが高いため、再発予防のために継続的な薬物療法が必要です。