Treatment
治療について
直腸脱の手術治療(ガント-三輪法・Thiersch法など)について
直腸脱は手術でしか根治できない疾患です。 内科的治療では完治が困難なため、外科的治療が必須となります。港北肛門クリニックでは、身体への負担が少ない肛門アプローチによる「Gant-三輪法+Thiersch法」の組み合わせ手術を行い、確実な治療効果を目指します。
手術の適応(対象となる方)
直腸脱の手術治療は、以下のような状態の方に適用されます。
手術適応の条件
- 直腸が肛門から脱出する症状がある
- 脱出により日常生活に支障をきたしている
- 保存的治療では改善が期待できない
- 手術に耐えうる全身状態である
患者背景の特徴
- 高齢の女性に多発(特に70歳以上)
- 出産経験や加齢による骨盤底筋群の弛緩
- 直腸支持組織の緩みと肛門括約筋の弛緩
- 便失禁を伴うことが多い
全身状態による手術適応の判断
高齢の患者様(特に85歳以上)や、基礎疾患が多い方、心肺機能が低下している方など、全身状態によっては手術の合併症リスクが高まる可能性があります。 その場合は、より高度な治療が可能な専門施設へのご紹介を検討することもあります。
当院での手術方法
Gant-三輪法+Thiersch法(組み合わせ手術)
港北肛門クリニックでは、最も簡単で普及している方法であるGant-三輪法+Thiersch法 を採用しています。この組み合わせにより、確実な脱出防止効果を得ることができます。
手術の詳細手順
Step 1: Gant-三輪法(直腸縫縮術)
- 粘膜の結紮
- 粘膜を小指の先くらいにつまみ、糸で縛る
- これを数十箇所行う
- 直腸の縫縮
- 数十箇所の結紮により直腸は縫縮される
- 脱出した直腸を中に戻す効果
Step 2: Thiersch法(肛門狭窄術)
- 肛門括約筋の弛緩対応
- 肛門の括約筋が弛緩している状態に対処
- ナイロン糸による肛門縮小
- ナイロン糸などで適当な大きさに絞める
- 目安:示指が入るくらいの大きさ
- 再脱出の予防
- 適切な肛門径により脱出を物理的に防止
手術時間・麻酔
- 手術時間: 60分〜90分
- 麻酔方法: 腰椎麻酔または全身麻酔
- 体位: 砕石位
入院・術後管理
入院期間
直腸脱の手術は入院による治療となります。 入院期間は手術内容や患者様の回復状況によって異なりますが、通常は2〜7日程度 です。
術後経過
入院中の管理
- 疼痛管理: 術後疼痛の適切なコントロール
- 排便管理: 便性の調整と排便指導
- 創部管理: 感染予防と創部ケア
- 全身状態の観察: 高齢者特有の合併症への注意
退院後の注意点
- 便秘の予防: 過度の腹圧を避ける
- 重労働の制限: 腹圧上昇を来す活動の制限
- 定期的な経過観察: 再発の早期発見
港北肛門クリニックの入院環境
入院設備完備により、高齢の患者様も安心して治療を受けていただける環境を整えています。24時間体制の看護ケアにより、術後の安全管理を徹底しています。
期待される効果
症状の改善
- 脱出症状の解消: 直腸の脱出が停止
- 不快感の軽減: 脱出に伴う違和感や痛みの改善
- QOL向上: 日常生活の質の著明な改善
- 心理的負担の軽減: 脱出への不安からの解放
機能的改善
- 排便機能の改善: 正常な排便パターンの回復
- 便失禁の改善: 肛門括約機能の部分的回復
- 活動制限の解除: 腹圧を気にしない日常生活
当院の手術の特徴
肛門からのアプローチによる手術は、腹部を開ける手術(腹腔鏡下直腸挙上固定法など)に比べて身体への負担が少ない 場合があります。高齢の患者様にとって、より安全で負担の少ない治療選択肢となります。
手術のリスクと注意点
一般的なリスク
- 出血: 術後出血のリスク
- 感染: 創部感染の可能性
- 疼痛: 術後疼痛(鎮痛剤により管理)
特有のリスク
- 排便障害: Thiersch法で肛門を狭めすぎると排便に支障をきたす可能性
- 再発: 術後の直腸脱の再発(手術法により再発率が異なる)
- 肛門狭窄: 過度の肛門縮小による狭窄症状
高齢者特有のリスク
- 全身合併症: 心肺機能低下による手術リスクの増大
- 認知機能への影響: 術後せん妄のリスク
- 回復遅延: 創部治癒の遅延
リスク軽減への取り組み
- 術前の詳細な全身評価
- 適切な手術適応の判断
- 経験豊富な専門医による執刀
- 術後の継続的な管理