Treatment
治療について
内痔核のゴム輪結紮療法について
内痔核は、肛門の直腸側にある歯状線より内側にできる痔で、排便時の出血や脱出が主な症状です 。内痔核の部位には知覚神経がないため、初期段階では痛みを感じないことが特徴です 。この「痛みがない」という性質は、ゴム輪結紮療法が無麻酔で行える大きな利点です 。
痛みのない出血は内痔核だけでなく、大腸がんや直腸がんなどのより重大な疾患のサインである可能性も否定できません 。「痔だろう」と考えて来院された場合でも、症状の背後に潜むより重大な病気を早期に発見することに繋がることもあります。
治療の適応(対象となる方)
ゴム輪結紮療法は、主に以下のような症状や状態を持つ患者様が適応となります。
- 脱出を伴う内痔核(Goligher分類のII度以上)がある方
- 内痔核による出血や脱出が、日常生活に支障をきたしている方
- 保存療法(薬や生活指導)では症状の改善が見られない方
- 根治手術(結紮切除術)が難しい高齢者の方
- 仕事や家庭の事情で長期的な入院ができない方
治療術式の選択
内痔核の治療には、患者様の症状の進行度、痔核のタイプ、ライフスタイルなどに応じて複数の選択肢があります。当クリニックでは、患者様一人ひとりの状態を正確に見極め、最適な術式を提案します 。
- ゴム輪結紮療法
- 適応: 主に脱出を伴う内痔核(Goligher分類のII度以上)で、特に痔核の粘膜部分だけが飛び出すタイプに最も適しています 。
- 方法: 専用の器具を用いて、内痔核の根元を小さなゴム輪で縛り、血流を遮断して壊死させ、1〜2週間で自然に脱落させる治療法です 。
- 特徴: 短時間で完了し、日帰りでの治療が可能です 。無麻酔で行うため、処置中や術後の痛みはほとんどありません 。
- ALTA療法(ジオン注射)
- 適応: Goligher分類II〜III度の内痔核に適応となります 。
- 方法: 痔核に硬化剤を直接注射して固め、出血や脱出を防ぎます 。
- 特徴: 結紮切除術と同等の効果が期待でき、日帰りで可能、術後の痛みが少ないのがメリットです 。
- 結紮切除術
- 適応: すべての痔核が対象となる、痔核の根治術として最も主流な方法です 。
- 方法: 痔核に通じる血管を縛ってから、痔核を切り取ります 。
- 特徴: 再発率が低いのが最大のメリットです 。ただし、入院が必要となり、術後の痛みが伴うことがあります 。
当クリニックの術式選択への考え方
当院では、それぞれの治療法のメリット・デメリットを丁寧に説明し、患者様の状態と価値観に最も適した治療法を共に選択していくことを重視しています。
治療の詳細
麻酔・所要時間
- 麻酔方法: 内痔核のできる部位には知覚神経がないため、無麻酔で行うことが可能です 。
- 所要時間: 処置自体は5~30分程度で完了します 。
治療手順
- 器具の挿入: 専用の結紮器を肛門内に挿入します。
- 痔核の結紮: 結紮器を用いて、出血や脱出の原因となっている内痔核の根元をゴム輪でしっかりと縛ります 。
- 痔核の脱落: 血流を絶たれた痔核は、通常1〜2週間で壊死し、ゴム輪と共に自然に脱落します 。脱落した痔核は排便時に便と一緒に出ることが多いです 。
期待される効果
ゴム輪結紮療法によって、以下のような効果が期待できます。
- 痔核の縮小と脱出の改善
- 排便時の出血の解消
- 肛門の違和感や不快感の軽減
- 日常生活の質の向上
治療のリスクと合併症
一般的なリスク
- 術後出血: 手術後、特にゴム輪が脱落する際に少量の出血が見られることがあります 。
- 術後疼痛・腫脹: 手術部位の痛みや腫れが起こることがありますが、通常は約2週間で徐々に軽快します 。
- 創部違和感: 術後しばらくは肛門に違和感が残ることがありますが、日常生活に支障はありません 。
特有のリスク
- 再発の可能性: ゴム輪結紮療法は根治術ではないため、再発の可能性が高い治療法です 。
- 不適切な手技による痛み: 輪ゴムをかける場所を誤ると、強い痛みが発生したり、再手術の原因となったりする可能性があります 。
リスク軽減への取り組み
当クリニックでは、長年の経験を持つ専門医が、患者様一人ひとりの痔核の状態を適切に見極め、慎重かつ正確な手技で処置を行うことで、安全性の確保に努めています 。また、日帰り手術後も、万一の事態に備えて入院できる体制を整えています 。