Symptoms

症状について

腹痛

腹痛は日常的によくある症状ですが、「いつものこと」と見過ごしてしまうと、その陰に大腸がん炎症性腸疾患(IBD)など、専門的な治療が必要な病気が隠れていることがあります。

ご自身の腹痛の症状が、以下のようなサインを示していませんか?

  • お腹が痛いと感じた後、排便をすると痛みが一時的に楽になる
  • 左下腹部が差し込むように痛むことが多い
  • お腹の痛みと一緒に、便秘や下痢を繰り返している
  • 以前に比べて、便が細くなったと感じる
  • 腹痛が続き、ガスが溜まりやすい、またはお腹が張る
  • 腹痛と一緒に、粘液や血が混じった便(血便)が出る
  • 急に激しい腹痛が起こり、これまでに経験したことのないような痛みである
  • 腹痛とともに、発熱(38℃以上)がある
  • 腹痛が慢性的に続き、原因不明の体重減少がある

放置してはいけない危険なサイン(レッドフラッグ)

「突然発症した、これまでに経験したことのない激しい痛み」「高熱(38℃以上)を伴う強い腹痛」「吐き気や嘔吐が続き、水分摂取が困難な状態」「腹痛が慢性的に続く中での意図しない体重の急激な減少」といった症状は、生命に関わる緊急性の高いサインです。これらの症状が一つでも当てはまる場合は、自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。

この症状が考えられる主な疾患

腹痛の原因は、大腸の粘膜や組織に炎症や腫瘍がある「器質的な原因」と、大腸の動きや知覚の異常による「機能的な原因」に大きく分けられます。当院では、腹痛を訴える患者様に主に以下の病気を鑑別・診断します。

  • 大腸がん・大腸ポリープ 大腸にできたポリープやがんが大きくなると、腸管の壁が引っ張られたり、便の通り道(腸管)が物理的に狭くなったりして腹痛が生じます。特に左下腹部に痛みが起こりやすく、症状が進むと便が細くなったり、慢性的な便秘、そして吐き気・嘔吐を伴う腸閉塞(腸が詰まる状態)を引き起こすことがあります。
  • 憩室炎(大腸憩室症の急性炎症) 大腸の壁にできた小さなポケット(憩室)に便が入り込み、細菌感染によって炎症を起こす病気です。左下腹部に強い痛みや発熱を伴うことが特徴です。憩室炎は進行した大腸がんと症状が似ていることがあるため、炎症が治まった後には、大腸内視鏡検査で大腸がんがないかを確認することが専門医として必須となります。
  • 炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎・クローン病) 腸に慢性的な炎症や潰瘍ができる原因不明の難病です。腹痛と下痢が主症状であり、特にクローン病では腹痛と下痢が最も多い初期症状です。体重減少や発熱など全身症状を伴うこともあります。
  • 虚血性大腸炎 大腸への血流が一時的に悪化することで、腸粘膜に炎症や潰瘍が生じる病気です。突然の腹痛(主に左側腹部から下腹部)で始まり、その後、下痢や血便が見られることが特徴です。近年、ストレスや生活習慣の乱れも発症の引き金となるケースが増えています。
  • 腸管ベーチェット病 口内炎や皮膚、眼の症状に加えて、消化管にも深い潰瘍ができる病気です。回盲部(小腸と大腸の境目)に潰瘍ができやすく、腹痛、下痢、発熱、倦怠感、体重減少などの症状が見られます。潰瘍によって腸が狭くなると、腹痛が強くなります。
  • 過敏性腸症候群(IBS) 内視鏡などの検査で炎症や腫瘍といった器質的な異常が見つからないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感が慢性的に続き、排便によって症状が一時的に和らぐのが特徴です。ストレスや不安によって症状が悪化しやすいとされています。
  • 便秘症 便が腸内に長く留まることで、ガスや腐敗物質が過剰に溜まり、腸管が圧迫されて腹痛や腹部の張りが起こります。便が詰まることで胃が圧迫され、吐き気やゲップが出ることもあります。この場合、根本原因である便秘の解消が腹痛改善の鍵となります。