Symptoms
症状について
肛門がかゆい
肛門周囲のかゆみ、すなわち肛門そう痒症は、生活の質(QOL)を著しく低下させるだけでなく、根本に重大な病気が隠れている可能性もあります。
- 肛門周辺にムズムズ、モゾモゾとした不快感や違和感がある
- 排便後や、体が温まり血行が良くなる夜間(特に入浴後)にかゆみが強くなる
- かゆみが強すぎて、夜間に目が覚めてしまい、睡眠障害につながっている
- かゆみにより掻き壊してしまい、皮膚がただれたり、湿疹ができたりしている
- 慢性的な掻き壊しにより、肛門周囲の皮膚が厚くなったり、黒ずんだり(色素沈着)してきた
この症状が考えられる主な疾患
肛門のかゆみ(肛門そう痒症)は、その原因が非常に多岐にわたるため、一概に特定することは困難です。当院では、局所的な皮膚炎だけでなく、肛門管内の構造的問題や便通といった内科的な根本原因に着目し、複合的に原因を特定していきます。主に以下の病気や原因が考えられます。
- 肛門周囲皮膚炎と衛生要因: 肛門の周りの皮膚が炎症を起こし、ただれた状態を肛門周囲皮膚炎と呼び、かゆみの直接的な原因となります。この皮膚炎は、下着の汚れを拭き取ろうとして強くこすりすぎたり、洗浄力の強すぎる石鹸やビデの過剰な使用による皮膚バリアの破壊が原因となります。また、直腸からの分泌物や便の付着により、皮膚がじめじめすることで悪化します。
- 痔核・脱肛による粘液漏出: 痔核(いぼ痔)、特に進行して肛門の外に脱出する脱肛は、肛門の締まり(括約筋機能)を悪くします。これにより、直腸から分泌される粘液や便、滲出液などが肛門周囲に漏れ出し、皮膚を慢性的に刺激し、皮膚炎や強いかゆみ(続発性そう痒症)を引き起こします。
- 裂肛(きれ痔): 肛門の皮膚が切れる疾患で、排便時の痛みや出血が主症状ですが、硬い便だけでなく、形のない軟便や下痢便による皮膚への刺激が原因で、急性のかゆみを伴うことがあります。
- 痔瘻と肛門周囲膿瘍: 肛門の感染症が進行し、膿の通り道(痔瘻)ができている場合、膿が持続的に排出されます。また、肛門周囲膿瘍の状態でも強い炎症を伴います。これらの刺激性の分泌物が周囲の皮膚を汚染・刺激することで、かゆみや炎症を引き起こします。
- 便通異常(内科的要因): 便秘症や慢性的な下痢は、刺激物が肛門周囲に長時間残留しやすい状態を作り、皮膚炎の原因となります。過敏性腸症候群による慢性的な便通異常や、炎症性腸疾患(IBD)など、大腸内科的な基礎疾患による便通異常が背景にある場合、根本的な治療が不可欠です。
- 感染症と全身疾患: カンジダ、白癬(水虫)、毛じらみなどの感染症が強いかゆみを引き起こすことがあります。また、性感染症である肛門尖圭コンジロームは、ウイルスが原因で肛門の周りにイボができます。通常は痛みやかゆみはないことが多いですが、人によってはとても大きくなったり、数が増えたりすることがあり、こすれて痛みやかゆみ、出血などが起こったりします。その他にも、糖尿病や肝疾患などの全身的な病気が原因で皮膚のそう痒を引き起こすこともあります。
- 悪性腫瘍(要精密検査): 通常の湿疹治療で改善しない、あるいは症状を繰り返す難治性の場合は、パジェット病などの稀な悪性腫瘍が隠れている可能性があるため、特に注意が必要です。治りにくい湿疹やかぶれとして発症することが多いため、迅速な専門的な鑑別診断が不可欠です。