Symptoms

症状について

肛門から何かが出てくる

肛門から何かが出てくる「脱出」症状は、多くの場合、痔の進行が原因ですが、直腸の病気が隠れている可能性もあります。もし以下のような症状が続いている場合は、専門医の診察をご検討ください。

  • 排便時、イボのようなものが肛門から飛び出す
  • 飛び出したものが、力を抜いても自然には戻らず、手で押し込まなければ戻らない
  • 排便とは関係なく、常に何かが肛門外に出た状態になっている
  • 急激に腫れ上がり、座ることもできないほどの激しい痛みを伴う
  • 下着に常に粘液やぬるぬるとした分泌物が付着する
  • 出血よりも脱出がメインの症状になってきた
  • 肛門にイボのようなものがある

この症状が考えられる主な疾患

肛門から何かが飛び出してくる「脱出」の症状は、ご自身で判断しにくい複数の疾患が考えられます。原因によって治療法が根本的に異なるため、専門医による正確な鑑別診断が必須です。主に以下の病気が考えられます。

  • 内痔核の進行(いぼ痔の脱肛): 脱出症状の最も一般的な原因です。肛門の奥にある直腸粘膜下の血管の集まり(肛門クッション)がうっ血し腫れ、排便時のいきみなどにより肛門の外に押し出される状態です。初期には自然に戻りますが(II度)、進行すると手で押し込まないと戻らなくなり(III度)、最終的には常に出たままの状態(IV度)となります。内痔核が進行し、脱出が強くなると、粘液の漏れによる皮膚炎や、嵌頓(かんとん)による激しい痛みを伴うことがあります。
  • 直腸脱: 痔核と誤認されやすい病態ですが、これは直腸の壁全体が裏返しになって肛門外へ反転・脱出する疾患です。特に高齢の女性に多く見られ、脱出部が同心円状(ドーナツ状)の形状を呈することが内痔核との視診による大きな鑑別点となります。直腸脱は排便機能の低下(便失禁や便秘)を合併することも多く、多くの場合で手術が必要となります。
  • 肛門ポリープ: 歯状線付近の組織が線維化して成長した良性腫瘍です。サイズが大きくなると排便時に肛門から脱出し、内痔核と間違われることがあります。ポリープが原因の脱出は、痔核の治療法ではなく、ポリープ自体の切除が必要となるため、正確な鑑別が重要です。裂肛(切れ痔)を併発しているケースでは、脱出に加えて出血や痛みを伴うことがあります。
  • 直腸ポリープ: 直腸内に発生したポリープが大きくなると、排便時に肛門外へ脱出したり、嵌頓(かんとん)したりすることがあります。特にサイズの大きなポリープは、脱出を伴うことがあり、痔核や直腸脱と鑑別が必要です。ポリープは将来的に癌化するリスクもあるため、切除の検討が必要です。

これらの症状は、ご自身で判断せず、専門医の診察を受けることが大切です。自己判断は、正確な診断を遅らせたり、適切な治療の機会を逃したりする可能性があります。また、稀ではありますが、脱出症状の原因の中に、長期間の直腸脱に直腸がんが合併していたという報告もあり、特に高齢の患者様や病悩期間の長い方は、専門的な大腸内科のスクリーニングも不可欠です。